しらんがな

なんでもない人。読んだ後は心で叫びまひょう。「あんたのことなんか知らんがな!」

みんなが

着物を着て遺影の向こうで凛としている女の人がのこしたものは、6人の子どもと彼らが生きるための知恵

 

教科書が伝えたもの

お国の考え

知識、誰かが用意した答え

文字

皆で同じページをめくる音

 

写真が残したもの

記憶、想い出

時間が過ぎ去ったことの理解

 

兵隊さんが残したもの

信念

日本という国

戦争をなぜやってはいけないかの応え

未来を生きる人

争いの痕

大切な人への手紙

 

少女が残したもの

憎しみ

孤独

悲しみ

復讐

争いの痕

1枚の写真

 

皆が残したもの

なんだろう

 

あそこに咲いた花が残したもの

新しい種と

腹が立つ程美しい色彩

あの場所の記憶

静かに人の側に咲いたこと

 

鳥が残したもの

ふん

鳴く声

飛ぶ姿

自然と共に生きること

 

教室が残したもの

鮮やかな、様々な色彩

一人一人異なる記憶

くだらないことで笑った場所の人

恐ろしいトラウマがいまも残る人

人がいなければ争いは生まれない

人がいなければ笑顔は生まれない

貴方がいなければ

鮮やかだったはずの想い出は

貴方が笑っていたはずの想い出は

気づけなかった自分を責めてしまう

教室は変わらず

教室は何もいわず

時を閉じ込める

想い出を、受け止め

多くの子どもをただ受け入れる

 

空が残したもの

哀しみ

苦しみ

泣く姿

生きている人を見れなかった時

貴方を、見てしまった。

自分も生きているのに

笑う人々を見れなかった時

貴方を見てしまった。

虹は、出なかった

色とりどりの色彩で貴方はただ

包み込むから

ただ見てしまう

ただただみては、感情を喪う

そうか空の下に皆いると思いたい気持ちがようやくわかった。

 

貴方の命が残したもの

人々が自分の痛みにしか

心を向けぬ恐ろしさ

他人の痛みを他人事としながら

美談を創り上げる恐ろしさ

貴方の痛みを人々が忘れて行く

残酷さ

貴方が必死で守った日々に

間に合わなかった後悔

 

ありがとうの一言を

ごめんなさいの一言を

愛してるの一言を

伝えられなかった後悔

 

 

お婆ちゃんになった少女が遺したもの

伝えるべきことは、相手の命にちゃんと伝えなさいの教え

手紙

猫のえさ

90歳を迎えても未来を、生きる人々

繋がれる命を願う姿

躰が動かなくなろうとしても

ご先祖様に、毎日感謝を伝える姿

何も自分のことは、口にせず微笑む姿

教え子の皆さんからの年賀状を、見て

皆さんに感謝する姿

命を生きる姿

また今朝も祈っている

繋がれた命を生きているのだと

何も言わずに教えてくれた

人をずっと愛している姿

ずっと愛してくれた

 

みんなが残したもの

過去と未来の間を、生きたこと

一人一人幸せは、違っていいということ

繋がれた命

君が居るだけで誰かを勇気づける日も

あるということ

紡がれていく時